Japanische Klassiker mit Furigana
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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
Lesen Sie 野草雑記・野鳥雑記 (やそうざっき・やちょうざっき) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.016 Zeichen · 284 Bildschirme
五
誠に徳虫魚に及ぶは尊い所業に相異ないが、しかもその間に人を本意とした親疎内外の差別観がなかったならば、このように無造作に、一方の生命を愛惜するためばかりに、他の一方の存在を憎むことは出来なかったのではないかと思う。
けだし物の命を取らねば生きられぬものと、食われてはたまらぬ者との仲に立っては、仏すらも取捨の裁決にお迷いなされた。終には御自身の股の肉を割愛して、餓え求むる者に与え去らしめたというが如き、姑息弥縫の解決手段の外に、この悲しむべき利害の大衝突を、永遠に調和せしむる策を見出し得ざったのであす。語を換えて言うならば、おれの池のおれの金魚が大切といえばともかくも、単に金魚が可愛そうだということは、一般にカワセミを納得せしむる理由としては不十分だと思う。
五
その上に被害者が、もし見にくい池の蛙などであったら、果してこの弱肉強食の現実に当面して、能く同一程度の義憤を起し得たかどうかも、また大なる疑問である。
なるほど池の蛙は惜しげもなく沢山に、毎年の春は生れて来る。しかし金魚の出産率は実はこれよりも遥かに大きいので、鯡や鰹などと同じように、全く最初から食われるため死ぬためだけに、生命を開始するといってもよい者が大部分なのである。