Japanische Klassiker mit Furigana
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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
Lesen Sie 野草雑記・野鳥雑記 (やそうざっき・やちょうざっき) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.016 Zeichen · 284 Bildschirme
五
美濃から信濃にかけては秋に入ると、鶫の売買が盛んであるが、好いオトリの何年かを飼い馴らしたものは、ただの仲間の麹漬になる鶫の、何千羽を集めたよりも高い価を持っている。それが決して教育の力ではなく、単に偶然にその声の囮に適することが発見せられて、多数の中から稀に一つ、取残して珍重せられたというに過ぎぬ。専門の鑑定家の話を聴いて見ると、声の佳いというのも決して鶫たちのために佳いのではない。よく鳴く鳥でもその声が悲しければ、空を行く群がうかうかと降りては来ない。籠にいながら籠を忘れて、ただ食糧と水との豊かなることに満足してさも楽しそうに歌っていると、しからばここで休もうと多くの渡り鳥が、網を張り渡した夜の明け方の小松原へ、ばらばらと飛んで来て捕えられるのである。文人で言うならば病的天才である。ここいらの野の雲雀の群には、そういう標準から鳴声の善悪を批判せられるような心配は幸いにしてまだないばかりか、彼等の仲間だけでは頓馬を極上々と、きめていたところで致し方はないのである。
五
少なくも下手はお構いなしに、精一杯に彼等は鳴いている。それをまた我々が色々と意味を付けて聴こうとしていたのである。