Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

平次は言い捨てて、もう一度巣鴨へサッと引返しました。

黒木長者の屋敷へ帰り着いたのは、未刻(二時)そこそこ。驚き呆れる人達に構わず、平次はもう一度念入りに見て廻りました。屋敷の内外、特に人肌地蔵のあたりを何遍も何遍も嗅ぎ廻して、ややたそがれる頃、漸く豁然とした顔になって、やたらに欠伸ばかりしているガラッ八を顧みました。

「八、解ったよ」

「ヘエ――、あと二つの千両箱の行方ですか」

「いや、まだそこまではつき留めないが、俺はもう少しで、大変な手違いをするところだった」

「と言うと」

「後学のためだ、その竿を見るがいい。俺は石の地蔵様にばかり気を取られて、この竿に気が付かなかったのだよ」

平次は塀の外の畑の中から、穀物を乾した時使ったらしい一本の棒、――三間ほどある逞しい竿を持って来ました。

「この竿の端に千両箱を二つ縛って、一方の端を塀の向うへ越し、向うへ廻って、外から竿の先へ付けた縄を引き、地蔵様を釣り上げたのだ。石の地蔵様の方がいくらか重いから、千両箱は竿ごと引寄せられて、塀の上へ来る理窟だろう」

「ヘエ――考えたね」

「そこを塀の上へ登って、こっちへ千両箱を越さしたんだ、大きな音を立てずに、二つの千両箱は、スルスルと畑の中へ滑り落ちたんだね」