Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
平次は四方を見ました。
「誰も手を掛けません」
母親のお辰は、涙の隙から、僅かに引取りました。矢の根の方へ近く結んだ文が、鮮血に染んで見る影もありませんが、誰かがその上から握ったらしく、結び目が乱れて、少し滅茶滅茶になっているのです。
「八、おかしいとは思わないか」
「ヘエ――」
八五郎はキョトンとしております。
「銭形の親分、向うから飛んで来た矢なら真っ直ぐか、下向きに立つはずだが」
重吉はさすがに気がついた様子です。
「その通りだよ兄哥、矢は上向きに突っ立っている、――踞んだところを後ろからやられなきゃ、こんな工合になるわけはねえ」
平次は矢を抜いて見ました。何の他愛もありません、ほんの頸動脈をやられただけでしょう。
「おや?」
矢の根が普通の稽古用のではなかったのです。
「新助はたしなみだと言って一本ずつはそれを持っているが――悪いものを射たな」
佐々村佐次郎は独り言ともなく言います。その間に平次は血に染んだ結び文を、丁寧に解いて見ると、
――「今夜いつもの刻限に木戸のところで逢いたい――」
という他愛もないもの。お駒どの、新の字と署名した、何の疑いもない代物です。