Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
二
それは、長い発熱と、たまらない胸部の疼痛の続く病気で、冬一杯は殆ど枕もあがらなかったのですが、正月からはグングン良い方に向い、近頃は床もあげて、一日の半分は外で暮すと言った、気儘気随の療養生活を送り、もう一と月もしたら、又鎌倉町の店へ帰るがよい――と言うところまで漕ぎつけて居りました。
鎌倉町の店で成人した新吉は、その裏の横手を走る、浮世小路の貧しさ、哀れをもよく知って居り、その路地の中に、母娘二人の駄菓子屋があり、その娘のお滝が、神田切っての美しい娘であったこともよく知って居ります。
いや、それどころでは無く新吉とお滝は、何時の間にやら顔を見合わせ、笑顔で会釈し、そして互いに、軽い挨拶を交し合う仲になり、更に進んで、不思議な苛立しさと、夢のようなあこがれと、機会を掴もうとする、不思議な焦躁をさえ感ずる仲になって居たのです。
二
小梅の寮の変事の報告を、明神下の平次の家へ、八五郎が持って来たのは、その翌日の昼頃でした。
「鎌倉町の出雲屋の岩太郎が、妾のお滝を小梅の寮に入れて、人を嘗めた酒宴を開いた晩、さてこれからお開きという時になって、――火事だッ――と怒鳴った者がある。