Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
二
「庭石の上から、釣竿を伸せば、刀架の刀はコトリとも音をさせずに取れるよ――それを植込の陰の犬の糞の上へ投り出しただけのことさ」
「釣竿、釣竿――誰が、何処からそんなものを?」
「そんなことはわかるものか――でも釣竿だけは植込の陰に捨ててあったよ。行って見るがいい」
「誰のだ――それは?」
富山七之助は、ズカズカと庭に戻ると、植込の陰まで行きました。
まさに一言もありません。手頃な竹竿が一本、釣針まで付けたまま、其処に転がって居るではありませんか。
「釣竿なんか持って居るのは此家の一人しかいないぜ――目黒川に行って泥鮒を釣るのが好きでね」
「誰だ――」
富山七之助は四方を見回すのです。
「下男の勇太郎さ」
「己れッ」
飛付こうとする富山七之助は、少年の宗之助に留められました。
「富山さん、あわてちゃいけない。自分の釣竿で、そんな命がけの悪戯をするものは無いぜ――悪戯者は釣竿の持主の勇太郎じゃないよ」
「――」
富山七之助の顔の苦渋さはありませんでした。この少年の逞しい知恵が、苦もなく富山七之助を圧倒して行くのです。
二
「見切物の札をつけたのも、秋山でないというのか」
富山七之助は、疑惑と昏迷に、しどろもどろです。