Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
灯は左右から、二つも三つも運ばれて、其辺はもう、光の中に覆うところなく描き出されます。小女のお春の脅え切った顔も、下女のお竹の眠そうな顔も、小僧の宗之助の、相変らず人を馬鹿にしたような顔も見えますが、此処で八五郎は、思いも寄らぬ大変な発見をしてしまったのです。それは、
「あ、親分」
多勢の中から、親分、銭形平次の顔を見付けたことでした。
「八、――随分、用心をした積りだが、防ぎようは無かったな」
「親分は、何処から、何時の間に――」
八五郎の鼻の下の長さというものは、
「喜八郎と入れ換ったのだよ、喜八郎は百人町の百兵衛のところに泊って、俺は此処へ戻って来たまでのこと、喜八郎の声色を使うのに骨を折ったぞ」
そんな事を言う間にも平次は、主人峰右衛門の死骸を調べ、倅の久太郎を走らせて、外科の石順を呼ばせました。
峰右衛門の傷は、匕首か何んかで、喉の大動脈を一とえぐりにしたもの、最早助けようもありませんが、内儀の肩の傷は大したものでなく、これは手軽に治りそうです。
見ると北窓の障子も雨戸を開けてあり、其処に屋根を伝わって出ると、庇には梯子を掛けて、真下の喜八郎の部屋の外に此処から家へ入りましたと言わぬばかりに、庭下駄が、鼻緒を揃えて脱いであったのです。