Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
銭形平次捕物控
【第一回】
一
【第一回】
一
その頃江戸中を荒した、凶賊黒旋風には、さすがの銭形平次も全く手を焼いてしまいました。
本郷、神田、小石川へかけて、町木戸の無いところを選って、三夜に一軒、五日に二軒、どうかするとそれが連夜に亘って、江戸の物持ち、有徳の町人共を、全く恐怖のドン底に陥入れてしまったのです。
「八、弱ったな、俺は十手捕縄を預かってから、こんなに弱ったことは無いよ」
銭形平次ほどの者が、つくづく嘆息するのはよくよくの事です。
「親分が手に了えないとなると、こいつは人間業じゃありませんね」
親分の腕に信頼し切っている八五郎は、これを鬼神の仕業とでも思って居たのでしょう。
「盗る物は金か、金目のものだ。そんな欲の深えエテ物があってたまるものか、人間の仕業にきまって居るよ」
「それなら、何処に証拠を残すとか、顔を見られるとか、尻尾位はつかまりそうなものじゃありませんか」
「笹野の旦那もそれを仰しゃるのだ、江戸の町人の難儀は、竜の口の御評定にもお話が出たそうだ、これで年を越された日にゃ町方一統の名前にかかわる――とな」
「それを親分一人が気を揉むことが無いじゃありませんか、雀の涙ほどでも、お上の御手当を頂いているこちとらから、二百俵のお禄を頂戴している八丁堀の檀那方まで、みんな一様に、黒旋風に馬鹿にされてるわけで」