Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「で?」

「それっ切りですよ」

「一と晩がかりの土産はそれっ切りか」

「それからお浜が飛んだ働き者で、可愛らしい娘だったことと――、千両箱なんか何処にも転がっていないことと」

「もういい」

「まだありますよ――それから浪人者の宇佐美敬太郎を訪ねて」

八五郎はまだまだ報告し足りない様子です。

二

木賃宿梅の家の一夜は、八五郎をすっかり嬉しくさせました。が、此処に逗留して居るほど呑気にもなれず、それから竹町の路地に、宇佐美敬太郎を訪ねたのは、八五郎の気の働きでした。

「お早ようござい――お留守ですか」

三軒長屋の奥の方、入口から声を掛けても、返事はありませんが、横手へ回ると竹垣を隔てた格子の奥に、何やら人の気配がするのです。

「今日は――、御免下さいよ」

大きな声、手をラッパにして吹き入れると、

「何んだ、用があるなら表へ回れ。もっとも掛け取なら、大晦日までは払わんことにしているぞ――その代り大晦日の晩は何百両でも一ぺんに払ってやる」

そう言う声は、昨夜の浪人者宇佐美敬太郎に間違いもありません。

「そんなものじゃございません。ちょいとお訊ねし度いんですが――」

「何んだ、顎の長いのか、お前なら大丈夫だ、裏へ回れ、――文武両道の達人、宇佐美敬太郎、矢にも鉄砲にも驚きはしないが、借金取だけは苦手だな」