Japanische Klassiker mit Furigana
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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
Lesen Sie かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.006 Zeichen · 182 Bildschirme
ゆすり
「君、入場券をお買いよ。ええ、七枚」
今村に紙幣を渡している時である。さっきから人に押されながら立っていた巾着切の黒眼鏡が、すぐに彼女のすがたを見出して、
「あ。お光君じゃありませんか」
と寄って来た。
ゆすり
「オヤ、君はこの間の……」
「え、高橋八寿雄ですよ」
と、巾着切は中折帽をとって、左の手の甲で汗ばんだ額を抑えた。
「ずいぶん尋ねましたよ、一度場内へはいってみたのですが、来ていないので、切符をムダにしてまた外へ出て見張っていたんです」
「よく知っていましたね、私たちがここへ来るのを」
「柳田商会で訊いたら、多分、きょうから競馬の方だろうと言うので」
「お狒々さんも察しがいいわネ。しかし、君はどうしてここへ来たの? そしてそんなに私たちを探したの? 君も競馬が好きで私たちの合資会社へでも入れてくれと言うの?」
「いや、あっしゃあ、競馬なんざあ嫌えです。競馬へ来ることはあるけれど、馬を見たことはありません」
「なるほど、それよりは、むしろ馬に気をとられている人間のポケットの方に目をつけますか」
「もちろんです……」黒眼鏡は笑って、
「職業意識はどんな所へ行ったって働かずにゃいねえんで」