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Japanische Klassiker mit Furigana

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かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

Lesen Sie かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.006 Zeichen · 182 Bildschirme

Aozora Bunko

菩提夢

呆っ気にとられているのを後にして、お光さんは活溌に、石段の降り口へ向って歩き出した。――そこへトム公が駈け上って来た。トム公を見るとお光さんは、姉のように手を伸ばした。

「どうしたえ、連中は」

「今、黒眼鏡を引っぱッて、ここへ来るよ」

「税関のスパイがいるから、ここへ来てはまずいね。どこかないかしら、ほかにいい場所が」

「坂のナンキン墓は」

「あ、あそこなら静かでいい、こっちへ上がって来ないうちに、ナンキン墓の方へ行くように連中へそう言っておくれ、私は、上から廻って行くから」

長い急な石段を、トム公が転がるように、駈け降りてゆくのを見て、お光さんは反対に、十二天の境内を裏坂の方へ歩き出した。その背なかへ、まだ先刻の頓馬なスパイの眼がこびりついているのを感じながら――

菩提夢

川すじで、貸ボートを捨てた一群の愚連隊たちは、柳田商会の前でうまうまと罠にかけた黒眼鏡の男を取りかこんで、誰の眼にも、何の異様も感じさせずに、北方の通りをぞろぞろと連がって来た。

「十二天はいけねえとよ! ナンキン墓だ、廻れ右」

先へ行ったトム公が戻って来て、そう告げる。

谷戸坂を登って、左側の高い崖をのぼると、中腹に土饅頭型の陰気な丘があった。