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Japanische Klassiker mit Furigana

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かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

Lesen Sie かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.006 Zeichen · 182 Bildschirme

Aozora Bunko

プリンス

船長は、まっ赤になって、それへ呶号を返した。難船に瀕したせつなのように、大きな拳が空でうごいた。会社側の職工長は、陸の者を追いながら、一足跳びに桟橋を渡って来た。

二人の水夫が、見事な速度で、帆柱へ登って行った。小さな、賢いインド猿は水夫がそこへ来るまでに、蜘蛛の巣のようなロープを渡って、まったく、手の届かない所へ、腰をすえ込んでしまった。

「誰か捕まえて下さい、いいえ、あのオペラバッグを取って下さい、あれを紛失しては、大変なんです! お礼は、いくらでもあげる。事務長さん、どうして下さるの。もし、あれを紛失したら、船へ責任を持たせますよ。宝石だけでも十万円位なものは、はいっているんですから」

婦人は、金持臭い哀命をふり撒くそばから、ヤツ当りに、上級船員へ詰問した。船長の赤い顔も、のっぽな事務長の顔も、空へ向いたまま硬ばってしまった。

飛んでもない悪戯者へ、あらゆる方法で捕獲の手が試みられた。だが、彼はそれに対してトンボや綱渡りを酬いて見せるだけだった。そして最後には、信号柱の尖へ行って、オペラバッグを齧り始めた。

プリンス

「飼主は誰ですか!」

婦人の眼は、ヒステリカルに周囲を物色した。