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Japanische Klassiker mit Furigana

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かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

Lesen Sie かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.006 Zeichen · 182 Bildschirme

Aozora Bunko

伯の旧事

で言った。

「かんかん虫ってなアに?」

「清ちゃんのお父さん、かんかん虫じゃないの」

「あらひどいわ」

「トム公って、おもしろい名だわね」

「ごまかしても、だめだわ、覚えてらッしゃい」

「あら、痛いッ、女将さん、清ちゃんがいじめるわ」

女将は、学校の先生のように、雛妓たちの中にたって、めッと、睨んでみせた。

それを、雛妓たちは、よけいにおかしがって、いっぺんに、声を出して笑った。――けれどその中に、たったひとり、笑いもしないで、泣きそうにしている妓があった。いちばん美しい雛妓だった。

伯の旧事

伯を正賓としての、その日の高瀬家の招待は、いろんな趣向を尽して、午後から夕刻までつづいた。

豪奢な町人趣味の饗宴は、ようやく、伯をして、少々倦怠を催させて来たし、たえず、その顔いろを見ている高瀬理平にもわかった。

「いかがでしょう、だいぶ席が濁りましたから、ひとつあちらの茶室で、姪の不手前なお薄茶を差しあげたいと存じますが」

七時に、神奈川県下の政党人たちの懇話会にのぞむが――それまでにはまだ少し時間がある。

大隈伯は、チョッキの時計をのぞいて、

「よかろう」

と、言った。