Japanische Klassiker mit Furigana
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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
Lesen Sie かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.006 Zeichen · 182 Bildschirme
おれがいちばん堪らないのは、自分のことじゃない、亀田さんのことさ。おいらが、馴れない人を、むりに仕事に連れて行って、その日に、あいつらのために、窃盗の冤罪をきてしまった、亀田さんのことだけが、すまないんだ! 悲しイんだ」
みんなトムの顔をじっと見つめた。すごい眉間をしている者があった。もうありありと胸で怒っている顔があった。
「――その人には、五人の家族がある。イロハ長屋で、満足に食える家はないけれど、亀田さんの家は、いちばんひどい。まだ、残飯の味を知らない官員さんのおちぶれで、おまけに、子供も病気、おかみさんも、働けない体だから……」
「わかった」
神学校の制服が言った。
「要するに、トムの責任感を果してやりさえすればいいんだろう」
「ウム」
「同時に、横浜愚連隊は、醜穢なる石炭成金高瀬理平の家族に、精神的、或いは物質的に、社会的制裁を思い知らしてやることを、ここで、宣言しようじゃないか」
「異議なし」
「賛成」
「手段は」
「えらばんよ、硬軟両策で行こうじゃないか。まず美男子のおれは、あそこの娘の奈都子というのへ、魔手をかけて、堕落させてやる」
「そんな方ばかり目企んでいないで、トムの悩みを第一義に考えなくッちゃあ」