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Japanische Klassiker mit Furigana

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かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

Lesen Sie かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.006 Zeichen · 182 Bildschirme

Aozora Bunko

「とッくですよ」

この地下室では、朝の微光も感じられなかった。

「谷戸橋で何を騒いでいるんだ」

「警察署の監獄馬車が河の中へ堕ちて、馬車の土左衛門ができたッていう騒ぎでさ。――何だろうと思って、見物に行ってみると、その馬車は、引ッ張りあげてあるけれど、後の騒ぎが大変です」

「フーム、どの辺だい、それは?」

と動じない李鴻章の顔も、だいぶあやしくなりだした。不安そうに水煙管をおいて、卓の上に、両肱をのせた。

「築港の方から、舟で来るとすると、海口の税関の見張所と、谷戸橋のあいだ辺りの見当ですがね」

「…………」

「親方にも、覚えがあるでしょう」

「ある」

「そこへ、ゆうべ、馬車が堕ちたんでさ。……で、人夫や船頭を連れて来て、そのやっかいな土左衛門を引き揚げにかかると、誰が最初に見つけたのか、河底の泥土ン中から、金時計を拾ったやつがあるというわけなんで」

「ふ……」

「すると、おれも拾った、おれも見つけたと、たちまち、馬車の方はそッち退けになっちまって、この河には金時計がウンと沈んでいるというんで、まるで喧嘩腰で、河ざらいみたいな騒ぎがもち上がッたんでさ」

「ふ……」

李鴻章の顔は、だんだん、泣き出しそうに、曇ってしまった。