Japanische Klassiker mit Furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lesen Sie ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.351 Zeichen · 213 Bildschirme
──私はここで開拓民族と鎖国民族との生活力の差をはっきり見たような気がした。
山本さんは端然とへちまの下に座を占め、ぽつりぽつり語る。その話を聞きながら、私はまたしても蒸し風呂のような船長室で汗をたらして私あての手紙のタイプライターを打ったディールさんと思いくらべてみるのだった。
「また官界へ復帰しようと思いますよ。わずかばかりの恩給では食ってゆけませんので」
山本さんは淡々と語る「四年前に勇退するときには後進に道をゆずる意味で、まだ停年前でしたが、いさぎよくやめました。その当時は恩給でやってゆける計算だったのですがなあ──」
後進に道をゆずるとか、いさぎよくとか、勇退とか美しい言葉を日本人は使うけれども、結局は菊でも作って余生を平穏凡々に過ごそうという消極的な目的のためである。官界に復帰するのも働くのが主目的ではなく、恩給だけでは食ってゆけぬからなのである。だから再出発だというのに勇気りんりんたるところは見えない。淡々として、へちまがあかすりになって最後のご奉公をしようと思うのに似ている。恩給で食えるものならあと三十年、有明海のトッポ貝相手に雲仙のふもとでゆうゆう暮らしておりたいのであろう。