Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
「――馳け入って存分に火を放ち、直ちに疾風の如く引っ返せ」
二子の司馬師、司馬昭も、父の叱咤を聞き、この英姿を見るや、
勇躍して、
「それっ、続け」
と一道の隘路を混み合って続々谷のうちへ突進した。
「や、や。なおあれに、魏延が刀を横たえて控えておる。しばらく進むな」
仲達はうしろに続く面々へ再び馬上から手を振って制した。
彼方に魏延の一軍が見えたことも懸念になったし、なお彼をたじろがせたものは、近の穀倉や寨門に添うておびただしく枯れ柴の積んであることだった。
本来ならば蜀軍自身、「火気厳禁」の制を布いていなければならない倉庫の附近に、燃えやすい枯れ柴などが山となって見えるのは何故だろうか。さきに見届けに入った旗本たちにはその不審がすぐ不審と感じられなかったのは是非もないが、司馬懿の活眼はそれを見遁しできなかった。
「何の怖るる敵でもなし、われわれが当って、魏延を蹴ちらす間に、お父上は軍勢を督して、谷中へ火を放ち、すぐ外へお引き上げ下さい」
司馬師と昭の兄弟が逸り切るのを仲達はなお抑えて、
「いや待て。いま通ってきた隘路こそ危ない。谷のうちで動いておるうちに、万一、蜀の一手が、あの谷口をふさぎ止めたら我は出るにも出られない破滅に墜ち入ろう――。