Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
ために、谷中の大火もいちどに消えてしまった。そして、濛々たる黒霧がたちこめ、霧を吹き捲く狂風に駆られて、ふたたび紅い火が諸所からチロチロ立ち始めると、また、驚くべき雨量が地表も流すばかり降りぬいてくる。
「父上。父上」
「おお昭よ。師よ。夢か」
「夢ではありません。天佑です。私達は生きています」
「やれ。助かったか」
父子三人は壕の中から這いあがった。そして、何処をどう歩いたか、ほとんど、意識もなく、死の谷間から外へ出た。
馬岱の小勢がそれを見つけ、まさか司馬懿父子とも思わず追いかけて行ったが、そのうちに魏の一部隊が来たので、つまらぬ者を追っても無用と引き返してしまった。かくて司馬懿父子は完全に命びろいをした。彼の出会った味方の部隊の中に張虎、楽の二将も救われていた。
渭水の本陣に帰ってみると、ここにも異変があって、東部の一陣地は蜀兵に占領されている。それを撃退せんものと、魏の郭淮、孫礼などの一軍が、浮橋を中心に、激戦の最中であった。
しかし司馬懿を擁した一軍が、一方からこれへ帰ってきたので、蜀軍は、「うしろを取られては」と、にわかに退却して、遠く渭水の南に陣をさげた。