Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
「老将軍を援けんため、これへくる途中、前を阻めた魏兵を蹴ちらし、その大将董禧という者の首をもらってきました」
「やあ貴様もか」
「ご辺もか」
ふたりは、二つの首を見せ合って、月下に呵々と大笑した。
趙雲は、涙をたたえて、
「頼もし頼もし。この老骨の一命など、さしたる事ではない。董禧、薛則の二将が討たれたりと聞えれば、敵勢の陣はまさに潰滅状態であろう。その虚をのがすべきでない。われにかまわずご辺らは、崩るる魏軍を追って、さらに、夏侯楙の首をも挙げ給え」と、励ました。
「さらば」
「ご免」
と、ふたりは、手勢をひきつれて、まっしぐらに駈け去った。
趙雲は、あとを見送っていたが、
「ああ大きくなったなあ。張飛も関羽も地下で満足しているだろう。思えば、あの二人はわしに取っても甥のようなものだ。時代は移ってきた。国家の上将たり朝廷の重臣たる自分も、老いてはやはりあの若者たちにもかなわない。辱ずべきだ。よい死場所こそ欲しいものよ」
彼もまた、やがて鞭うって後に続き、なおその老躯を、追撃戦の中に働かせていた。
副将芝も、何処からか現われてきて、それに加わり、一時散り散りになった蜀兵も、この好転に、ここかしこから谺をあげて集合してきた。