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Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

思い定めたこれからの生活法――心持の上では、夫にたよらず自力で立とうということも、まんざら見込みないこととも思われない。――伸子は、自分の心持がそこへ来るまでの、渾沌と動揺した気持を書いたのであった。その作品は、文学的にはたいして重きを置かれていない、ある政治雑誌の附録に載せられた。

掲載号を送ってよこした日であった。伸子は、活字になった自分のものを読みかえしながら、机の前で考えに耽っていた。すると、表の格子戸が開いた。伸子は独りっきりでいる昼間、がらりと格子の音がすると、あたりの空気を衝き動かされるような不安を感じた。そのようにして来るのは、乞食声を出す、押強い物売りか何かにきまっていた。障子をあけかけたが、土間に立っている者を認めると、

「なあんだ!」

と、現金に声まで変えて、伸子は嬉しそうに立ち上った。

「いやなひと! 誰かと思ったじゃあないの」

和一郎であった。

「今日は。――ちょっと本当のお客の真似をして見たのさ」

「おあがんなさい」

「……有難う……」

伸子は、彼の躊躇するらしい様子をいぶかった。

「なぜ? いそぐの? それともオウトバイが心配?」