Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

「そりゃあいいけれどね、今日は迎えに来たのよ」

「……――でもいいじゃあないの」

和一郎は上ったが、落着かなかった。彼は、

「いそがしい? 来られない?」

と訊いた。

「――行かれないことはないけれど……何か用なの?」

彼女は、呼びつけられるのはすきでなかった。たとい、その日出かける気でいても、不意に誰かを迎えによこされ、今直ぐ来いと云われると、気が渋るのであった。

「お母さんが、話があるんだって」

話があるというのは多計代の慣用手段なので、云う和一郎も、聞く伸子も、思わず一種の可笑しさを感じて笑った。

「そりゃあ、話があるにはきまっているけれどさ」

「今日は、でも少しむきよ」

「何なの」

和一郎は、云いにくそうに、不器用に云った。

「姉さんが今度書いたもの、それを読んで、文句があるんだって」

「ふうむ」

伸子は、心の中でひととおり考え、一箇所だけ、それかと思うところを思いあてた。それは、主人公の女の夫に対して、女の母が、ある反感、敵意に似たものをもっていると云う僅かの部分であった。若し母が何か云おうとするなら、恐らくそこ以外にはあるまい。

「じゃあ行こう」

伸子は立って支度をした。