Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

彼女ははしゃいだり、佃に意地わるい小言を云ったりした。

ある朝、風呂から出て来ると、佃が縁側に出て庭に立っている女中と話していた。

「じゃ、日帰りできるね」

「ええゆっくりでございますよ、少し早めにお出かけんなれば」

「――どういう風に行くのかね、ここからだと――殺生石の横から上るのかしら」

「そうです。あそこにちょっと急なところがございますが、直ぐ本道へ出ます――大勢さんおいでですから、そこまでいらっしゃれば、自然と頂上までお登れなさいますですよ」

「どこ?」

「折角来たんだから那須へ登りたいと思って」

朝飯を食べながら佃は伸子に云った。

「君はどうせ駄目でしょう――待っていてくれますか」

「そうね――待ってたっていいけれど……」

一日ぽつねんとしていることを思うと、気が進まなかった。

「何里あるの――行けたら私も行きたいわ」

「上下三里ばかりだそうだが、ずっと登りつづけだから――どうかな――」

「行くわ、じゃあ。ぽっつりここにいるより行った方がまし」

佃は迷惑そうであったが、伸子は膳を下げに来た女中に草履と結いつけの紐を頼んだ。

起きた時分には靄があったが、八時過ぎると素晴らしい天気になった。