Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
あしたは蔵前の不動堂か」
ひとり言に呟いて、同苦坊は、車を曳き出した。
市十郎は、その後を押して行った。――蔵前の不動堂についたのは、夕方ちかくであった。
大釜をそこへおくと、同苦坊は、またすぐ深川の佐賀町の米問屋まで、幾俵かの米を取りに行った。
彼が、一年中の托鉢に得た浄財は、ほとんど、自分が樹下石上の生活につかう極く微少な費えのほかは、みなこの米問屋へ送っていた。
――それが十年以上もつづいているので、佐賀忠とよぶここの主人も、彼の帰依者のひとりとなって、大施粥の行事には、便宜と、喜捨と、あらゆる援助を与えていた。
「今まで見ないお方だが、こんどお弟子さんになられたのか」
その佐賀忠に、市十郎はたずねられた。
市十郎は、顔を振った。
車に、米を積み終って、佐賀忠と同苦坊が、茶のみばなしをしている間に、車のそばへ寄って来た老番頭が、やはり彼を同苦坊の新弟子とおもいこみ、
「何しろ、あんなお坊さまは、今の世にはありませんな。寺へ、隠し売女をおいて、遊女屋のお株をとったり、うまい手づるをつかんで、大奥の女中衆でも咥えこんで、入れ上げさせよう――といったような色坊主ばかりが多いんですからなあ。