Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
「油断じゃないか。北ではまた、南のやつらを、あっといわせようなどと思って、ひっそり、手繰をつけていねえとも限らねえ」
「いや、こんどだけは、金輪際、こっちも、北に抜かれるようなドジを踏んじゃおりません。……だが、何度、現場を調べても、江戸橋の番太郎ふたりを吟味しても、また堀留界隈を、訊きほじッてみても、さッぱり、手懸りがつかねえんです。北組だって、同じことをやっていまさあ。今んとこ、どっちも、暗やみの手さぐりで、時々、北と南と、鉢合せしたり、腹の探りッこという恰好でさ」
かれらの言も、誇張ではない。
もともと南北町奉行所には、各、与力五十人、同心二百四十人が、所属されていて、それらの大半以上は、一般市政や、所内の事務に就いており、犯罪の検挙にあたる与力同心の実数は、一部の人員にすぎないが、それにしても、大きな事件ともなれば、奉行所の機能の最高度なものがそれに集中することになっている。
にもかかわらず、事件以来、二十日もたって、しかも、南北のその機動力をあわせてもなお皆目、犯人のあしはついていない――というものを、どうして一個半個の目明しが、オイソレと、端緒を拾って来られるものではない。