Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
お次は、帯のあいだから、左右太に托された手紙代りの紙片を出して渡した。義平太は、その短い文字をひと目に読んで、「ありがとう」と、さりげなく、すぐ立ち去りかけたが、お次によび返されて、またふと足をとめた。
「何だね。お次さん」
「左右太さまは、どうかしたんですか。お役向きか何かで」
「聞いたか」
「ええ、夕方、目明し衆が、お店の床几で、そんなうわさをチラとしておりました」
「じゃあ話すが、左右太は、免役になった。もう奉行所へは来ない」
「……わたくしが悪かったんでしょうか」
お次は、袂の端を咬んで、涙の眼をそらした。
「ははは。なんで其女と、奉行所の任免と、関りがあるものか。左右太の免役は、越前守様と、意見たがいのことから起ったものらしい。なあに、そのうちにまた、復職するさ」
軽く、笑いまぎらして、義平太は、どこかへ足を早めて行った。
その頃、山本左右太は、楓河岸の橋袂にたたずんで、人待ち顔をしていた。
「左右太か……」と、やがて宵闇からよびかける声に、
「オ、義平太。来てくれたか」
ふたりは、河へ向って、石置場の石へ腰かけた。
「左右太。辛かったろう、今日は」
「察してくれい。