Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
だが、茶漬屋の座敷の灯は、堀の水に影を映して、さすが夜明かし商売を誇っている。
三人は、座しきをとって、隅田堤のまだ明けきらない水と空をながめた。
「いまのは、ほととぎすの声だろう」
「君はいま駒形あたり――ですか」
「源吉。味なことを、知ってるな」
そこへ、女中が、お風呂をといってくる。
左右太が、さきに入り、次に源吉が上がって来た頃、空が、美しく映え出した。
「お次さんも、さっぱりしておいで」
かの女を立たせてから、女中をよび、ちょっと、おかみに顔をかしてくれといった。
巴屋の送りをもって来た客なので、お内儀はすぐあいさつに来た。
「おい、おめえは、ちょっと、外していてくれ」
左右太は、源吉も遠ざけてから――
「おかみさん、うしろをお閉め」
「え。……なんでござんすか」
「ふすまも、障子も、閉めたがいい。此方はかまわぬが、奉公人も多勢の様子。おまえのためだ」
左右太は、ふくさに包んで持っていた十手を、おかみの前においた。
おかみは、顔いろを失った。立って、うしろを閉めるのがやっとだった。
「驚かしてすまないな。だが、おまえを召捕に来たのじゃない。十手は、奉行所の者だという証だけにおいたのだ。