Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
なんのために、生涯、日蔭におくり、自らの魔夢にうなされ、こんな万年床の主になって終るのかと――刑部はまたも、ぐちになる。
「親分も、やきが廻った。どうかしたぜ」
「あいにくと、お袖さんは、側にいねえし」
「いれやあ、また、悪たれをいわれるさ。以前のお袖さんたアちがって、二十歳ごろの毎日の泣き暮らしを、今じゃ、病人の親分が、なしくずしに、かたきを取られているようなもんだ」
「それにしても、お燕さんも、晩いじゃねえか」
「なんの、堺町の芝居見だもの、まだまだ二番狂言という頃、駕籠で帰っても、この根岸までじゃ、夜半近くにもなる」
「何か、みやげがあるだろう。それまで、飲んでいるとするか。……親分も、どうです。お一杯」
「だ……だめだ」
刑部は、力なく手を振って、その手が、間にあわないように、また咳を抑えた。
そのとき、何を感じたか、大亀が、
「あっ、変だぞ」
杯を、落して、ふいに突ッ立った。
就縛
気永に、半刻もかけて、辰三は、横の角材を、鋸で二ヵ所も切った。
這いよるやいな、脇差で、山本左右太の縄目を切りはらい、その脇差を手に持たせて、
「さ……。はやく、そっと」
掻い抱くようにして、左右太のからだと一緒に、切り破った床下の生け洲から出ようとした。