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Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

「三平っ、三平。床板を、その畳を、早く圧ッ伏せろ。床口を、閉めてからにしろっ」

刑部の喚きにちがいない。彼も、寝床を蹴って、猛然と、大刀をひき抜いた。

だが、赤螺三平が、そこへ戻って、床口をふさぐ遑もなく、すでに三人、五人、十人と、躍り上がッた同心と捕手は、そこらの部屋に、充満していた。

ふすまの倒れる音。格闘する屋鳴り。

どどどどっ――と、刑部は縁に馳け出して、

「うぬらっ」

もの凄い眼光を、追いしたう捕手たちに、かッと投げた。

化物と、異名のあるかれが、最期と知って、怒った顔は、近づき得ないものだった。

「それっ、巨魁を、のがすな」

同心のひとりは、体あたりに、十手を躍らせた。刑部が牙をかみ鳴らした声と共に、初めてそこに、血の犠牲を見、同心のからだは、宙へ、かかとを上げて、庭さきへころげ落ちた。

ばりばりッという物音は、逃げ足の早かった大亀が、台所部屋の竹窓を破って、遮二無二、逃げ出そうとしているものだった。

「こいつ」

跳びかかった二人の捕手が、かれの両足を引ッ張った。大亀は、畳の上に、もんどり打って、仰向けになり、足業をつくして刎ね起きると、必死の勢いで、勝手の雨戸を、体で突き破った。