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Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

……といやあ、お袖もおれも、同じ日蔭の人間だが」

畳に落ちた涙の音が、ふと耳を打ったので、梅賀も、箸と悪たれを措いてしまった。

近所の者でも、梅賀は盲とたれも信じているが箸のさき、またさっきお燕の寝顔を見た眼ざし――少しは見えるらしいのである。

ふたりの話しぶりも、どこかほんとの親子らしくない水くささがあった。これは近所でも感づいているが、養女と聞いているだけで、深い事情を知っている者はない。

お袖のまことの父は、秋田淡路守の家来で、わずか五十石暮らしの軽輩だった。お袖がまだ五ツの年、大病して、医者にも見離された折、その病の薬には、燕がよく奇効を奏すと人から教えられ、吹矢で燕を射たことが発覚し、あいにくその日が、将軍家の忌辰にもあたっていたので、夫婦ともに、斬罪という憂き目にあった人だった。

縁につながる身寄りもみな、それぞれ罪に問われて、世を去り、離散して果てたが、お袖はかえって人の手に病も癒え、その代り、身は転々と世路のつらさを舐めて、早くから水茶屋の茶汲み女に売られたりした。

十七。かの女は、恋を知った。

その頃、よく水茶屋へ通って来た、若い武家息子たちのうちの一人に。