Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
次の難儀、次の悩みが、すぐ想像され、それは、十手に追われる今よりも、もっと辛いものに考えられた。
寛永寺の僧や寺侍のうちには、不伝ばかりでなく、知った者は幾人もいる。かれらもまた、近頃の寺侍に劣らない自堕落な裏面を内部にもっているので、御隠殿下の一群の寺侍町では、お袖母子とも、ほかの仲間とも、よく遊び場所で顔をあわせていた。
大内不伝は別院執事の次席で、一山でも顔のきく男だし、母のお袖には、日頃、親しみを示しているが、お燕は虫がすかなかった。その不伝に、救われたら、どうなるだろう。考えるまでもないことだった。
「ああ、死にたい!」
ほんとに、かの女はそう思った。捕手も恐いし、救われるのも怖ろしい。何たる宿命の生れかと、そのときふと、かの女は、世間なみの感傷的な一処女になって、独り、顔じゅうを涙にぬらして、佇んでいた。
ひそかに、実に細心に。さっきから彼女たちの後を尾け、そして徐々と、うしろへ這いよっていた黒い人影があった。
お袖も気がつかず、お燕もなお知らずにいた。
ふいに、お燕が、悲鳴に似た驚きをあげたとき、男の黒い影は、
「捕ッたっ」
と、おどりかかって、もがき闘う美しい鳥を、羽交い締めにしながら、