Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

「多くのことは、お袖の父までの、代々の墓所のある日暮里村の湧泉寺で、過去帳をしらべ、和尚にただし、また遠い縁家などをさがし歩いて、聞きまとめたもの故。――それらを合せて、先に、あらましだけを、申しまする」

左右太は、覚え書を、読みながら話した。

「お袖の父親、今村要人は、秋田淡路守の家中で、禄五十石、役はお徒士。性は温良で実篤。藩のたれかれにも、評判はよい人物のようでした」

「…………」

大岡越前は、しずかな半眼に、縁先の若葉のいろを映して、黙然と、聞いている。――勘蔵の筆は、音もなく、左右太のはなしを、追っていた。

「その、今村要人の子お袖が、五ツの折、大病をわずらい、医者にも見はなされたとき――ある知人が、その病には、燕の黒焼しか癒す薬はないと、教えられたのです。子の可愛さに、子煩悩な要人は、吹矢をもって、邸内の長屋に巣をつくっていた燕を射落し、そっと、薬に作って、子に服ませました。たれか、密告した者でもあったのでしょう……当時、畜類おん憐れみの政令で、犬に限らず、殺生を犯した者を訴人するときは、公儀から褒美を下された頃でしたから……」

「うむ」と、越前は、大きく、うなずいた。