Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
「あれ程、越前の虚心を、いっておいたが、まだそち達には、解りきれぬものか」
「いや、御心中は、よく相分っておりますものの。……お察しくださいませ」
「おたがいは、人間じゃ。その心づかいは、うれしいと思う。しかし、それを超えねば、おたがい、奉行役人たる生命はない。左右太、何なりと、申してくれい」
「実は……。お燕の身は、ただ今、牛込柳町の町医、市川楽翁どのの隣家に匿われておりまする」
「義平太が、隠したか」
「いえ、楽翁どの自身、あの夜、寛永寺附近に、見張っていて、近所のかご寅という者をかたらい、御子息の義平太とは、論争のあげく、遮二無二、連れ去ったもののように思われます」
「して、お袖の方は」
「これは、楽翁どのも、手が廻らず、取り逃がしたらしく、あの後、組下の辰三、半次のふたりが、必死に探索しましたところ、どうも、寛永寺別院の副執事、大内不伝の手によって、山内にかくされているらしゅうございます」
「宮御住持の別院にとか。……ちと、うるさいの」
「何よりの、心配です」
「案じるな。越前の心さえ、しかと、最初の覚悟のままであれば、いかようなろうと、あわてることはない」