Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
「はいっ……」と、采女は、涙の瞼を拭って、誓っている意志を、眸にきッと証だてた。
「楽翁様やあなた様から、じゅんじゅんと、深いお話を伺って、父の立場も、よく分りました。母の恨みは、もっともでも、父の立場は、それ以上大切です。そして、母が父を呪っているかぎり、子の私も救われませぬ。……きっと、私の真心で、母の思いちがいも、改めさせます。人を呪い世を呪う、あの怖ろしい心の修羅から、母を助け出さねばなりません」
「おお、よくいった。それでこそ、そちもたしかに大岡どのの血につながる者といえる」
「あの隠れ家に閉じこもって、毎日、じっと、身の宿命を考えてみてから、悲しいうちにも、一つの希望が、何やら心にさして参りました」
「生い立ちから今日までを振り返って、そぞろ空怖ろしい気もいたそうな」
「……でも、よくも母が、これまでに、私を育てて来てくれたと思います。長い年月、悪党仲間に交じって来ても、母はやはり心のきれいな人にちがいありません。……その母を、一日も早く、悪の泥田から助け出しとうございます」
「うム。きょうこそ、その目的で来たのだから、母に会っても、必ず、一時の情に引かれてはならぬぞ」