Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

女の声だが、声でも分るほど、酔っている。

さっき、藪八がここへ通った時、つまらなそうに、独りぼッちで、池を見ながら手酌で飲んでいた四十がらみの女がちらと見えた。境のふすまを、女中がすぐ閉めたので、よくも見えなかったが、その年増女にちがいない。

ひどく啖呵の切れる――そして酒がいわせるのか、妙に自暴をふくんだ女のことばに――困りぬいた女中はまた奥の内緒へもどって行った。

奥ではさっきから、爪弾きの低い絃の音がもれていたが、ふッと止んで、女中の声やら男の声も交じり、何か、ひそひそ揉めていたが、やがて女将らしいのが、年増の客の部屋へはいって来た。

「だれだえ。私を、知っていると仰っしゃるのは」

「まあ、やっぱりお袖さんだったね。ほんに、久しぶりじゃないか。ま、一杯おあがりな」

「たれかと思ったら、むかし八丁堀にいたスリのお島さんだね」

「おまえさんも、変ったこと。化物刑部のお仕込みで、その後は、たいそう凄いお姐さんになったんだってね。……実は、仲間に会って、ついこの頃のおまえさんの様子を聞いたから、お祝いに来たのさ」

「ご親切さま。だけど、生憎と、お祝いをいただくようなこともないよ」