Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
殊に、諸所において、毎晩のような高札仆しが報ぜられると越前守は、
(そち達は、日ごろ、何かにつけて、北町奉行に劣るまいと努めながら、この下手人のみは、北に渡すつもりか)
と、左右太、義平太、勘蔵たちを、並べていった。
左右太と義平太が悲涙の眼を、奉行の面へ、じっと向けて、誓って、数日のうちに、お袖を縄にいたします――と、答えたのは、その日だった。小林勘蔵に役部屋の諸務をあずけ、ふたりは、お袖を縄にしなければ、ふたたび、この数寄屋橋門内には戻るまい――と決心して出た。
それが四、五日前のことだ。
わざと、捕手の手を借らず、二人はあくまで、二人の手で――と祈った。
目明し組では、辰三と半次だけが、折々の探りを、知らせてよこした。お袖の足どりはすぐ分った。練塀町の家、厩河岸の夜鷹小屋、そこらを、出入りすることも、おとといから分っていた。
が二人は、その影を見、そのあとを尾けつつも、どうしても、縄を投げられなかった。
いや、夜ごとの、お袖の行動を見るにつけ、また遠い以前からの、かの女の運命を考えあわせても、こうなるのは無理もない。決して悪人、毒婦などとよべる者ではなく、むしろ世にも憐れむべき善なる女性――と、いつか同情さえ持たれて来たのだった。