Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
(大岡越前どのは今、ある事件のため、非常な苦境に立っておられるそうだ)
という噂を聞いた。
鉄淵は、それだけで、およその事態を、すぐ察した。前々から書簡の往来で、越前守から、それとなく訊かされていたことなど、思い合わされたからだった。
「慰めてやろう」
かろい気持で、彼は今夕、越前守を役宅に訪ねたのである。
ふたりは、久し振りに会って、心から久濶の想いを、慰め合った。越前守は、この人にだけは、隠すことなく、何でも話せた。自分をまだ未熟な一凡人として、人間通有の弱さも、何の虚飾もなく、打ち明けていえるのだった。
「よくよくな宿縁じゃの、あんたと、わしとは」
鉄淵は、やがていった。
「――あんたにとって重大な人生の岐れ路というと、かならず、あんたの前に、わしが現われる」
「まことに、有難い仏縁です」と、越前守も微笑して、
「一度ならず二度までも。……きっと、三度目には、亡き骸となって、さいごの引導をさずけて戴くのかもしれません」
「すぐに、死を意識するのは、好くない。さむらいの口癖だが」
「はい。べつに、急ぎもしませんが」
「なるべく、生きる道をとった方がいいからな。