Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
そのお袖さまにも、私は、会ったことがあるのです」
「えっ。そなたと、お袖とが。――して、それは何日、どこの場所で」
「やしきのお庭の隅の丘で。あの、稲荷の小さい祠の前で。……あなた様は、まだお部屋住みで、奥の書斎にとじ籠っておられました」
「おう、では……味噌屋の久助という悪い遊び仲間がまだいた頃だの。その久助が、お袖をつれて、わしへ会わせに来たときだの」
「稲荷の丘で、幼い者の泣き声がするので、ふと、私が庭づたいに参りますと、お袖さまが、久助とやらをつき退けて、死にもの狂いで、あなた様のお部屋の灯を目がけ、馳け出そうとして来ました。……はッと、私は立ちふさがり、私も、女の一図で、争いました。火のような、ことばの投げあい、ひとりの、自分のものとする殿御を賭けて、女と女との、たたかいは、男同士の剣沙汰などよりは、もッともッと、命がけです。思い出しても、そのときの自分の強さが考えられない程でした」
「…………」
「――が、後には、勝った自分も、折にふれて、いい知れぬ悩みと、淋しさに襲われました。今ですから申します。縫は、あなた様を信じながらも、長い年月、もしやその後もと……良人を疑って見る自分の浅ましさを、どうしようもございませんでした。