Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
吉宗は、両手をついて、それに誓った。
「おもえば、怖ろしいことであった。いかに、無辜の民や、あわれなる宿命の者が、いわれもなく、この麻縄や、この白い牙にかかって、代々、次々、呻きの闇へ、投げこまれて行ったことだ。吉宗が生あるうちには、きっと、牢に人なき世を作って見せるであろう。それを以て、過去の怨念の民は、儂をゆるしてくれよ」
そしてまた、吉宗は、膝を、広く展けている空の一方へ向け更えた。
秋の澄んだ空の下には、大江戸の町々の屋根が、また橋や大川や小舟や両岸の柳までが、湖の底のもののように、鳥瞰図をなしていた。それは、その蔭にある、無数の庶民が、きょうを生きるために描き出している膨大な生命の絵図とも見えるのである。
吉宗の心は、たしかに、遠くはあっても、それと向きあっている心持ちをとったものだろう。かれは、大地に、正しく手をつかえ、前とひとしい言葉をもって、民衆に謝罪した。かつての将軍家が冒した大いなる罪を自分の職にかえりみて詫びたのである。そして、自分の信じる人間、大岡忠相を補佐として、かならず、世上にその実証をたてることを、天道も照覧あれ、と誓った。