Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
それより少し前に。
用人の嘉平という老人。また若党、仲間たちは、お縫の部屋に、お縫が見えないのに騒ぎ出して、こっちへ向って駈けていた。
その跫音と、提灯の光りを見――味噌久は、あわてふためいて、泣きぬくお燕を横抱きにかかえ直し、これは丘の裏の、町へ抜ける方の小道へ、ころげるように逃げ出した。
屈強な若党のひとりが、それと一足違いに登って来て、いきなり、
「この女め」
と、お袖を捉えて叩き伏せた。泣き狂い、泣きさけぶのを、わけも糺さず、二つ三つ、足蹴をくれて、悶絶させた。
お縫もそこに、泣き伏している。
この態に、嘉平はしばらく、狐にツマまれたような顔をしたが、若党仲間たちへ、何事かささやいて、かれはお縫ひとりへ、あらゆる宥りをかけた。そしてお縫は泣く泣く嘉平に伴われ、やしきの方へもどって行った。
その後。
若党と、仲間たちは、気を失ったままのお袖を、粗末な駕籠に押しこんで、丘の裏から夜の町へ担ぎ出した。四谷の窪をひた走りに駈け、茗荷畑、市ヶ谷並木――なお止まらずに駈けてゆく。
何かの弾みに、駕籠のうちで、ふと、息をふき返したお袖が、くやしげな嗚咽をもらすと、