Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
の兇賊は、何処へ身を潜めたか、影も形もありません。
がっかりして、先刻の女乗物の方へ引き揚げて来ると、大名高家の奥勤めをして居るらしい、盛装の若い女が、女乗物を促し立てて帰ろうとして居るところです。
「暫らくお待ちを願い度い」
相沢半助、少しあせり気味で、動き出した乗物を呼び止めました。
「何んで御座いますか」
乗物の後に附き添った女中、――御代参とも見えるお品の良いのが、少しとがめる調子で美しい顔を振り返りました。その後には、老女が一人、草履取が一人、これは少し離れて差し控えましたが、イザと言えばの構え、おさおさ油断がありません。
「近頃不躾乍ら、仔細あって、そのお乗物の中を拝見さして頂き度い、如何なもので御座ろう」
「それはなりません」
若い美しい女中ですが、さすがに見識は宏大で、そんな無礼な申出に耳を仮そうとはしません。
「重ねて申し上げるが、大事な捕物を見失い、悉く難渋いたす、如何なる御身分の方か存ぜぬが、枉げて御助勢に預り度い、拙者は南町奉行組下同心、相沢半助と申すもの、平に」
相沢半助は慇懃に小腰を屈めましたが、相手の出ように依っては、容捨しま敷き面構え、屹と女乗物の金鋲厳めしい扉を見据えて詰め寄りました。