Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
「お、これは?」
唐櫃から取り出したのは、紫色七尺の長紐を掛けた金蘭の袋、それを解くと、中から現れたのは、印籠蓋唐木の香箱です。
紐も崩れ、袋も歪み、中を開くまでもなく、見当は付きますが、念の為蓋を払って見ると、中に納めてある筈の、蘭奢待の名香がありません。
「お、矢張りそうであった、蘭奢待の名香を盗んで、立ち去る積りであろう。小堀平治が在る限り、そうはさせぬぞ、――御隠居様に成敗して頂こう、来い、女」
帯際を取って、お園を引き立てました。うっかりすると腹切り道具ですから、小堀平治も全く気が気じゃありません。
御隠居英山公は、その時南陽の入る書斎で心静かに書見をして居りましたが、廊下を蹈みしだくあわただしい足音に、思わず眉をひそめて、
「騒がしい何事じゃ」
静かに四方を顧みます。最早還暦もすませ、何も彼も当守淡路守に任せ切りで、風月を友に暮して居りますが、有髪の法体とも思えぬ案外の元気で、半白の鬢にも血色の良い顔にも何んとなく返り咲く若い血潮が漲って居ります。
「ハッ」
近習の者が立ち上ろうとすると、
「蘭奢待の名香を盗み出した曲者を召し捕って参りました、御成敗を願いまする」