Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
この女は、歌も詠み、俳諧も作り、茶事音曲はもとより百般の遊芸何一つ暗いものは無かったが、病気になってからは、わけても仏法に帰依し、「遊女」に身を堕して、幾百千とも知れぬ男を惑わし、中には自分の為に命を捨てた者も二人三人ならずあったことを、ひどく後悔して、何んとかしてこの罪障を消滅させ、安らかに往生する工夫は無いものかと、そればかりを思い患うようになりました。
臨終が近いと判ると、深く契り交した彫物師の松本鯛六を枕辺に呼んで貰って、――罪業の深さは、我乍ら空恐ろしい、私を不憫と思うなら、一生に一度の腕を揮って私の像を彫り、諸人の前に曝し物にして、せめては深い罪業の一部でも償わして貰い度い、生涯に何百人とも知れぬ首を切った粂の平内様は、自分の木像を浅草の地内に埋めて、毎日何万の人に踏み付けられ、罪業の消滅を願った例もある――。
小紫の願いは極めて真剣で、鯛六の手を握ったまま、心から引き受けたと言うまでは、何遍となく繰り返しました。
鯛六は――「引き受けた、安心するが宜い、私の腕にも生命にも代えて、お前の願いを果してやろう――」そう言って、小紫の最後を安らかにしてやるより外にはなかったのです。