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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

野良犬のように迫い廻され、叩きのめされ乍らも、あの心血を注いで作った人形の事を思うと、夜もおちおち眠られません。

四日目の夕方、両国の小屋の側にある水茶屋の軒下に佇んで居ると、水茶屋の娘が薄々事情を聞いて不憫に思ったものか、

「横山町の上州屋へ行って御覧なさい――」

たったこれだけを囁いてくれました。

鯛六の弱り抜いた足は、エレキを掛けられたように動いて、驀地に横山町の上州屋へ、

「――私は松本鯛六――あの小紫の人形を返して下さい――」

前後の考えもなく店口から飛び込んだのは、商人の一番忙しい黄昏時でした。

「何んと仰しゃるんです。そんなものは此処には御座いません」

番頭や手代達の言葉を耳にもかけず、

「主人に逢わせて下さい、お前さん方では話が解らない――」

無理にも飛び込みそうにする鼻の先へ、ヌッと立ちはだかったのは、町内の鳶頭、

「物貰いなら神妙に裏口から来あがれ、忙しい店先へ来て強請がましい事を言やがると、溝板に面型を捺させるぞ」

「強請や、押借じゃ無い、人形を返して貰い度い、主人にそう言ってくれ、彫物師の松本鯛六が、あの人形を受け取りに来た――と」