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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

「何を言やがる、ほりものが見たかったら、俺の張飛を拝ましてやらア」

クルリと双肌を脱ぐと、鯛六の襟髪を掴んで、溝板の上へ犬っころ投げに叩き付け、少し斜めに、背中一面に朱入で彫った張飛の刺青を覗かせて、見得を切ります。

鯛六はそれ以上争う気力はありませんでした。起き上ると埃も払わず、其の儘野良犬のように、夕闇の路次の奥に身を隠してしまいました。

「気を付けろ、間抜け奴」

いきなり鯛六へ突き当った人間があります。長絆纏に白木の三尺、手拭を頬冠りした、どうも見た事のあるような男、何んの気もなくヒョイと覗くと、向うも気が付いたらしく、あわてて顔を反けて道を反れます。

木戸番の八――小紫人形を何うかして、目を廻したという男、――そう言った淡い記憶が鯛六の頭に蘇がえりましたが、それが何うして、人目を忍ぶ風情にブラブラして居るのか、其処までは考えません。

亥刻近い時分まで、其の辺をほっ付き歩いて居た鯛六は、何んの気もなく上州屋の裏木戸を押すと、其の儘スーと開きます。頬冠りをした先客が入った事などは元より知る由もありません。鯛六は誘われるように其の中の闇に消え込みました。