Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
よしんば火が四方へまわらなくとも、右側に並んでいる私娼宿へは、まもなく火が移って焼けなければならない。その私娼宿の背後にあたって、火元の笹家があるのであるから。で、こうやっているうちにも焔が私娼宿の屋根を越して、空へ猛然と上がるかもしれない。そうして私娼宿の門や窓から黒煙と一緒に束のような焔が、ドッと噴き出して来るかもしれない。
「どうともして露路から出なければならない。手近に空地があったはずだ。いそいでそこへ行くことにしよう」抜き身を背後へかくすようにして、火光で深紅に輝いている、細い露路を一方へ歩き出した。だが三間とは歩かなかったであろう、その時左側に並んでいる、私娼宿の家々の屋根の上へ、夜ではあったが火事の光で、猩々緋のように輝いている、凄くて美しい明るい空を背景として人の姿が、七、八人陰影のように現われた。と見てとった山県紋也は、「きゃつらだ!」と叫ぶと抜き身を引き付け、屋根から飛び下りてかかってでも来たら、叩き切ってやろうと上を仰いだ。が紋也のその考えは、より惨酷の所業によって、すぐに裏切られてしまうことになった。
と、いうのは屋根の上の人間どもが、何やらいっせいに叫んだかと思うと、突然に彼らの両手が上がって、つづいて両手が下げられた時礫や丸太や火のついている棒が、紋也の頭上へ恐ろしい勢いで、唸り