Japanische Klassiker mit Furigana
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くうきぽんぷ
新美南吉童話集 2 おじいさんのランプ
Lesen Sie 新美南吉童話集 2 おじいさんのランプ (くうきぽんぷ) von Niimi Nankichi (新美 南吉) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 41.209 Zeichen · 85 Bildschirme
それはほんの一瞬間のできごとであったが正九郎には長い苦しみであったように思えた。もし、シューッ、シューッという空気ポンプの健全な音をきくことができなかったら正九郎はどうなっていただろう。正九郎ははじめほんとうとは思えなかった。自分の耳を信ずることができなかった。しかし軒下で空気ポンプは力にあふれた声をあげるのだった。「シューッ、シューッ」それは頑丈な男が、歯をくいしばってその歯のあいだから、ゆっくり息をおし出すような音だった。
おばさんは卵をみんなふろしきにうつすと、最後に小さい卵を正九郎の手ににぎらせていうのだった。「これは駄賃だよ。いまうんだばかりだからまだぬくといだら。」
片手にふろしきづつみ、片手にうみたてのほろぬくい卵を持って通りに出ると、正九郎は身も心もかるくなったのを感じた。長いあいだいたんだむしばがポロリとぬけたような気持ちだ。ほんとうに長い苦しみだった。ところで心がかりがないということはなんという心持ちのよいことだろう。世界は美しくみえる。空気はよいにおいがする。ほんとうに! このとき指先でちょっと正九郎をつつく者があったら、彼は腰を前に折ってげらげらと笑ったであろう。