Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
かもしれませんが、意地になっても応じられるわけのものではなかったのでございます。
が、万戸屋にはもちろん親父のこういう気持なぞわかろうはずもございません。よほど気に入ったものとみえて、
「私の方でも一遍切り出したからにはお世辞やお追従で申してるわけではございませんから、いかがです、越前屋さん、もう五円色をつけようじゃありませんか。私はこの品物に惚れたんだ。〆て五十五円! それでひとつ手を打って下さらんか」
と熱心な頼みでしたが親父にしてみれば、これではなおさらうんとは言われなくなってきたのでございます。
「せっかくのお頼みだがこいつだけはいけねえ! 万戸屋さんいけねえわけがある」と親父は苦り切って蒲団を見上げましたが「店に飾ってはおいたが、こいつだけは売り物にしたくねえんだ! 来春には倅に嫁取りもしなけりゃならねえので、その時の間に合せようと思って実はめっけ出してきたんだ。せっかくだが……」
とキッパリと断ってしまいました。そして、
「売り物じゃねえと言ってるのに、だれがこんなくだらねえものを付けやがったのか!」
と苦笑しいしい、親父は万戸屋の眼の前で蒲団にぶら下げてあった正札を引きちぎってしまいました。