Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
「ちょっくらうかげえやすけんど……久住先生のお屋敷は、こちらさまでごぜえやしょうか?」
「ハァ、久住はこちらですけど……あなたは?」
「おらがは東戸松在から、めえったもんでごぜえやす。……先生さまおいでやしたら、ちょっくらこの赤ン坊さみていただきてえと、思えやんしてな夜分におうかげえして、もうしわけねえでごぜえやすけんど……」
思ったよりも、しっかりした口調で老婆はいいました。
「ご診察なら、内玄関のとなりに診察室の入口がありますから、そちらからおはいりになって、しばらくお待ちになってください。……先生は今お食事中ですから」
みてもらいたいという赤ン坊は、老婆の背中にスヤスヤとねむって、病人らしくもありませんでした。このおばあさんのほうが、よっぽど病人だわ! と思いながら、奥へいそぐ途中で看護婦の平松は、朋輩の笠井という看護婦と、廊下ですれちがいました。
「とてもおっかない病人がきたのよ。わたしゾッとしてしまったわ。すまないけれど、診察室の入口へぞうきんをもっていってくれない? あの泥足であがられちゃ、やりきれないから」
そうして、茶の間のほうへいそいでいきました。