Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
「先生、患者さんでございますが……」
院長の久住博士は、あかるい電灯の下で、夫人の頼子といっしょに、夕餉の箸をとっていられました。
こんなさびしい片田舎にすんでいるお医者といえば、どんな白髪の老先生かと、みなさんはお考えになるかもしれませんが、博士はそんな年をとったかたではありません。まだ年も三十二、三、そうしていかにも学生あがりらしくキビキビとして、スポーツマンタイプの、そのくせどこかやさしそうな瞳がメガネの奥にまたたいていられます。
博士はついさいきんまで、東京大学医学部の、助教授までもつとめて、こんな田舎にうもれているような、ふつうありふれたお医者さんではけっしてないのです。
ただ、夫人の頼子が胸をわずらっていられるばっかりに、前途ある大学助教授の地位を、おしげもなくなげうって、転地療養かたがた、しばらく夫人の故郷近くのこの土地へきて、医院をひらいていられるかただったのです。
ですから美しい頼子も、一日もはやくじぶんの病気がよくなって、また東京へもどって、輝かしい学者としての道へ夫を専念させてあげたいと、そればっかりをねがっていました。
博士は、すこしはじぶんの勉強にもなるつもりで、ほんの数人の患者でもきてくれればけっこうだと、思っていられたのかもしれませんが、こんな田舎に、めずらしい名医がおいで