Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
もちろん今では、そのご家老の子孫は死にたえて、だれひとりのこっていられるかたもありませんでしたが、さすがは一藩の城代家老だったかたの住居だけに、苔むした築山、石灯籠、泉水などの広い庭、表や奥の書院から仲間部屋、女中部屋にいたるまで、ありし日のおもかげをそのままにしのばせているのです。
そして頼子夫人の実家というのは、何代かまえから、このご家老の縁つづきになっていられたので、この宏大な屋敷は、いつのころからか夫人の実家のもち家になっていたのです。
頼子夫人の実家は、ここから六里半ばかりはなれた、吉浦という海岸にある、県下きっての大網元で、夫人にはもう両親もなく、たったひとりのお兄さまがあとをついでいられました。
が、そのお兄さまとて、じぶんの事業がいそがしくて、とてもこんな辺鄙な、ふるくさい屋敷などにすんではいられません。そこでながくたちくされ同様に、雨戸をたてきっておきましたが、こんど夫人が病気で帰郷して、
「あのお家に、わたし、すみたいわ……お兄さま、わたしにかしてくださらない?」
とたのみましたが、
「ばかな、あんなところへすんでごらん、夜になると、キツネがないてでるぜ!」